32歳・東京都在住のフリーランスUIデザイナーです。
学生時代を除けば恋愛はこれまで三人とお付き合いし、現在のパートナーとは交際六年目、同棲歴は四年半になります。互いに仕事が多忙で土日も案件対応が入るため、家事をシェアしながらフレックスに暮らせる「事実婚状態」が合っていると感じており、法律婚はいまのところ選択していません。
事実婚状態で同棲するに至ったきっかけ

出会いは六年前、渋谷のコワーキングスペースで開かれたデザイン系LTイベントでした。私がUIデザインのワークフローについて登壇し、質疑応答で「ユーザーリサーチの統計処理をどうしているか」と鋭い質問をしてきたのが彼でした。
終了後、懇親会で話すうちに彼がデータ分析を専門とするフリーのバックエンドエンジニアだと判明し、互いの案件で困っている箇所が補完関係にあったため、その場で「週末ハッカソンを組もう」と盛り上がりました。
翌月、実際に小規模なスタートアップのプロトタイプ開発を共同受注し、深夜までSlackでやり取りするうちに仕事観や生活リズムが近いことに気づきました。
プロジェクト終了祝いに二人で箱根へ日帰り温泉ドライブに行き、帰路の車内で自然と交際を申し込み、その日のうちに「籍を入れるタイミングは決めず、まずは生活をシェアしよう」と合意。そこから3か月後、池尻大橋の1LDKを契約して同棲を始め、現在に至ります。
30代で同棲しても結婚しようと思えない理由

最大の理由は、互いがフリーランスという不安定な働き方を選んでおり、案件に合わせて生活コストや居住地を柔軟に変えたいからです。法
律婚で姓や扶養を一本化すると、確定申告や社会保険の切替手続きを都度行う必要が生じ、案件に集中できなくなる恐れがありました。
また、私が海外クライアントを担当する際は1か月単位で現地に滞在することもあり、相手に帯同を強いる形になるのを避けたかった点も大きいです。
双方の両親が離婚経験者で「結婚=持続可能とは限らない」という価値観を共有しており、心理的な重圧を伴う入籍よりも、定期的に契約書を見直す“パートナーシップ協定”のほうが関係維持に向いていると判断しました。
実際、家計や家事分担は年1回ずつ見直しており、双方が納得して更新する仕組みを導入しています。
このプロセスがあることで、言いにくい不満も書面ベースで可視化でき、関係がフラットに保たれていると感じます。
事実婚の生活で不便だと感じたのは急な病気

結婚していないこと自体が直接の差別に結び付く場面は多くありませんが、制度の隙間で不便や精神的な負担を感じることは確かにあります。
たとえば私が急性虫垂炎で救急搬送された際、パートナーでも「親族」に当たらないため、診断・手術方針の説明までは同席できても同意書に署名できませんでした。
また、賃貸契約でも事実婚カップルを想定しない管理会社が多く、保証人欄に「続柄:内縁」と記入した途端に追加書類を求められ、結果として保証会社審査が落ち、条件の良い物件を逃した経験があります。
さらに、国民健康保険料の減免や配偶者控除など、婚姻を前提に設計された税・社会保障制度は利用できず、年収差が大きい年には実質的に10万円超の税負担増となりました。
親族の冠婚葬祭でも、パートナーとして招待されず「友人席」で肩身の狭い思いをしたり、弔事で香典の名義をどうするか悩むケースがあります。こうした細かな不利や煩雑さが日常的なストレスになり得る点は、結婚していないカップル特有の辛さだと感じます。
結婚せずに同棲を続けて感じるメリット

同棲生活に対する満足度は総合的に言えば「8割方満足」です。
最大のメリットはは、入籍という形式に縛られず、年1回のパートナーシップ協定で家計や家事の比率を見直すことで、お互いのキャリアや生活リズムの変化に即応できる柔軟さが確保できている点です。
フリーランス同士なので繁忙期は家事をシフトし合い、閑散期には一緒に旅行がてらワーケーションへ行くなど、入籍で名字や扶養を一本化した場合には面倒な手続きが生じる場面を回避できています。
また「結婚しているから別れられない」といった心理的拘束がないぶん、毎年の協定更新時に対等な目線で不満を言語化でき、関係性が停滞しにくいと感じます。
ただし前質問で触れたように、医療同意や賃貸契約など制度面の不利が断続的に発生し、その都度ストレスや追加コストがかかるのも事実です。
特に子どもを持つ選択をした場合、現行制度では親権や相続の問題が複雑化するため、将来的には婚姻届けを出す必要性も感じています。
要は「法的メリット」と「運用上の自由度」の天秤を年ごとに計り直す感覚で、そのプロセス自体が私たちには合っている。
現段階では制度上の不便よりも、自由に働き方と生活を最適化できるメリットの方が大きく、概ね満足している―これが率直な実感です。
同棲のまま一生結婚しないのか?今後の生活の見通しについて

今後の予定としては、当面は現行の「事実婚+年次協定」スタイルを続けるつもりです。直近1~2年は双方の案件が海外クライアント主体になる見込みで、滞在国を変えるワーケーションを計画しています。
国内に拠点を残す場合は、賃貸ではなく家具付きマンスリーマンションに切り替え、流動性の高い住まい方に移行する予定です。
一方で子どもを迎える可能性もゼロではないため、2026年までに家族計画を含むライフプランを再協議し、その時点で法的婚姻が必要かどうかを正式に判断することを合意済みです。
結婚せずに事実婚を続けたい人へのアドバイス

- 書面を必ず作る
- 緊急連絡フローを整備
- 制度上の不利を金額換算する
- 更新タイミングを固定
同棲=口約束になりがちですが、家計・家事・資産形成のルールをA4用紙1枚でも良いので明文化してください。後で「言った言わない」にならず翌年振り返ることができます。
医療同意書や連絡先カードを共有しないと、救急搬送時に手続きが止まるリスクがあります。互いの両親や兄弟の連絡網をGoogleドキュメントで共有するだけでも安心感が大きく違います。
配偶者控除・扶養・保険など「結婚していれば浮いたはずのお金」を年額で算出し、自由度とトレードオフを比較すると納得感が上がります。
私たちの場合は年約10万円の追加負担でしたがこれを「関係の柔軟性への投資」と捉えました。
誕生月や同棲記念日に協定を見直す習慣を作ると、問題を先送りせずに済みます。
このスタイルは「自由」と「自己管理」が表裏一体です。ルールを自ら設計・改訂する主体性さえ持てれば、制度婚に劣らない安定感と満足度を得られるはずです
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